〜 三原市、尾道市、福山市、府中市、
世羅町、神石高原町、笠岡市、井原市での
看護学校・就職・再就職・復職までが分かる 〜

先輩看護師の声
〜専門性ある仕事の魅力〜

専門性をもった
看護師について

 看護の仕事もさまざまなキャリアアップの道があります。
 「認定看護師」とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、日本看護協会の認定を受けた看護師をいいます。現在、救急看護、集中ケアなどの分野があり、全国で2万人以上の看護師が活躍しています。
 また、「専門看護師」は、患者さんに対する看護だけでなく、全体のチームの調整や教育の役割も担うスペシャリストです。
 自分がめざすキャリアに応じて資格を選択することもできます。

専門性をもった看護師について
代畑 光教さん

尾道市立市民病院

感染管理認定看護師

代畑 光教さん
(2022年11月 取材)

如水館高校・
尾道市医師会看護専門学校・
神奈川県立保健福祉大学実践教育センター 出身

病院全体を俯瞰的に見る仕事
 看護師になってから、一般病棟を経て集中治療室に勤務していました。そこでの仕事が6年目を迎え、30代も半ばにさしかかった頃、漠然と自分の数十年後の姿を思い浮かべました。その時、何か自分の武器となる専門分野が欲しいと思い、認定看護師の取得を考えたのです。感染管理認定看護師を選んだのは、病院全体を俯瞰的に見る視点が必要な資格だからです。集中ケアや慢性心不全など、他の認定看護師はみんな患者さんを対象としていますが、感染管理は予防が目的で、感染症が起こった時、院内感染を防ぎ、病院内で適切な管理をするためのシステムを構築することが仕事です。患者さんはもちろん、職員やその家族など、病院に関わる人すべてが対象となることに興味を持ったのです。
 2019年4月から横浜の大学で学び、12月に当院に帰って来た頃、中国で新型コロナウイルスが発生したという情報が入って来ました。
病院全体を俯瞰的に見る仕事
職員の不安が
波のように押し寄せる
 SARSやMARSなど、以前に発生したコロナウイルスについて少し学んでいたのですが、新型コロナウイルスは未知の感染症です。2020年に入ると日本でも感染者が見つかり、当院でも3月に発熱外来を、5月には感染症患者受け入れ病棟を開設しました。いきなり戦場に飛び込んだような緊迫感でした。感染予防のための建物や施設のゾーニング、院内での管理システムや組織体制の構築、清潔と不潔の基準の徹底など、やるべきことはたくさんありましたが、一番大変だったのは職員の不安を解消することです。全員の不安が波のように私に向かって押し寄せてきました。
 そうした時の対処法は患者さんと同じで、とにかく話を聞き、不安を受け止めることでした。院内でもコロナウイルスを担当する職員とそれ以外とでは温度差も大きく、感染対策が徹底できるようになるまで1年近くかかりました。2022年4月に当院でクラスターが発生したのですが、そのことがかえって病院全体の一体感を生み、みんなが自分のこととしてコロナウイルスに対処していくことができるようになったと思います。
看護の仕事もキャリアが多様化
 当院での仕事と並行して、「広島県感染症・疾病管理センター(ひろしまCDC)」の一員としても活動しています。コロナなど、感染症が各種施設で発生した場合、施設単独での対処は難しいので、私たちがチームを組んでゾーニングや対策の指導などを行います。今まで備後地方で高齢者福祉施設や児童福祉施設など8か所に派遣されました。口うるさく指導する側なので口うるさいと思われることも多いでしょうが、職員が健康に働くことに貢献できたらと思っています。
 看護は患者さんから感謝されるやりがいのある仕事ですが、私のように職員を対象とする感染管理認定看護師など、患者さんへの看護の先にもさまざまな道があります。そのキャリアは多様化しているので、男性にも将来の進路として考えてもらえたらと思います。
看護の仕事もキャリアが多様化
升谷 洋子さん

府中市民病院

看護師

升谷 洋子さん
(2022年11月 取材)

広島県立府中高校・
府中地区医師会准看護学院・
三次看護専門学校 出身

一度就職したのち、看護師へ。
育児を経て、職場に復帰
 保育所の遠足でケガをした時、対応してくれた看護師さんがとてもやさしく、幼いながらに看護はいい仕事だなぁと思いました。高校卒業後、一度は一般企業で事務職をしていたのですが、手に職をつけて長く働きたいと思い、准看護専門学校に入学しました。准看護師の資格を取得してからは、病院で働きながら看護専門学校に通いました。
 その頃は若くて健康だったので、ターミナルの患者さんのしんどさや苦しみが実感として分からず、うまく寄りそうことができずに悩みました。克服するには、勉強をし、経験を積むしかなかったですね。結婚をし、出産してから5年ほど育児に専念し、15年ほど前に今の職場に復帰しました。
一度就職したのち、看護師へ。育児を経て、職場に復帰
コロナ病棟であたり前のケアが
できないつらさ
 2020年春、日本でもコロナ患者が増え始めると、当院でもコロナ病棟を開設することになりました。私は看護部感染対策委員長、及び看護主任として、2か月あまりをかけてマニュアルを制作しました。最初の患者さんを受け入れる時は、防護服はきちんと装着できているか、ゾーニングはきちんとできているか、とても緊張したことを覚えています。院内感染を起こしてはいけないし、家庭に持ち帰ってもいけません。常にこれは清潔?不潔?と自問する毎日で、さまざまなストレスがありました。患者さんは私たち以上にストレスを感じておられたでしょうが、話したり、ふれあったりしてケアをすることができません。「体調はいかがですか」などとメッセージカードを作成したり、超高齢で読むことが難しい方には折り紙を渡したり、少しでも心が癒されるように工夫をしました。
 一番つらかったのは、患者さんが亡くなられた時の対応です。通常のグリーフケアをして差し上げることができず、ご家族同様に私たちもたいへん心苦しい思いをしました。病室でご遺体を棺に入れるということは今までに経験がなく、大きな衝撃を受けました。ご家族のことを考えると心苦しく、今後、コロナに感染された患者さんとご家族との関わり方をしっかり検討していかなければいけないと思います。
コロナで看護の基本に立ち返る
 コロナ対策において、支えとなったのは不安をみんなで共有し、励まし合ったことです。第7波まで、何とか院内感染なく乗り切ることができました。コロナは治療法が確立していない感染症なので、患者さんの生の声に耳を傾け、症状をしっかり観察して、対処していかなければいけません。薬に頼らない看護の基本を思い出し、ステップアップすることができたと思います。第8波が危惧され、予断を許さない状況ですが、コロナ病棟はみんな前向きでやさしく、温かさを感じる病棟で、ここで働けて良かったと思っています。
 看護は人とふれあう仕事で、人が好きだという思いがあればどんな方でも大丈夫です。ぜひチャレンジしていただきたいです。
コロナで看護の基本に立ち返る
榊原 理恵さん

井原市民病院

看護師

大塚 司さん
(2022年11月 取材)

岡山県立井原高校・
福山市医師会看護専門学校 出身

手に職をつけ、生活の基盤を
築こうと看護の道へ
 両親が看護師で、幼稚園の卒園アルバムにはもう将来の夢は看護師と書いていました。両親は忙しく働いていて、仕事のことを聞くことも少なかったのですが、何となくかっこいいと思っていたのでしょうね。高校の頃は美術の道に進むことも考えたのですが、まずは手に職をつけ、生活の基盤を作ろうと福山市医師会看護専門学校に進学することを決めました。
 勉強は嫌いではないので、苦しいと思ったことはないのですが、実習は大変でした。自分が今までふれあうことのなかった寝たきりで動けない方や重い認知症の方に戸惑い、どう関わっていけばいいのか悩みました。答えを出すことは簡単ではなかったですが、同じチームの仲間や先生、両親に相談し、話を聞いてもらうことで、どうにか乗り切ることができました。
手に職をつけ、生活の基盤を
知識が増え、看護に
活かせることがやりがい
 井原市で生まれ育ち、地元に恩返しをしたいという思いもあって、卒業後は井原市民病院に就職しました。現在は一般病棟で治療の補助や患者さんの日常生活のお手伝いをしています。急性期の一番大変な状態の患者さんが多く、循環器や整形外科、認知症や小児ぜんそくなど、症状もバラバラです。勉強しなければいけないことが多くて大変ですが、自分の知識が増えて、それを治療や看護に活かすことができた時はやりがいを感じます。
 しんどいことやつらいこと、厳しいことはたくさんありましたが、7年間働いてみて、看護の仕事は思っていた以上に自分にあっていたし、今はこのままずっとやっていこうという気持ちです。一度はめざした美術は、イラストやマンガを描いて、患者さんをなごませることに役立っています。
慢性心不全看護認定看護師の
資格取得が目標
 今の目標は、慢性心不全看護認定看護師の資格を取得することです。当院には心不全の患者さんが多く、専門知識を持つ看護師がいれば、患者さんのお役に立ち、医師との連携も取りやすくなると思い、勉強を続けてきました。近隣の医科大学に認定看護師の教育課程があるので、当院のサポートを受けて履修しようと考えています。
 病院での仕事や扱う病気の種類は多種多様で、私のように深めたい分野やしっくりくる仕事が必ず見つかると思います。看護の勉強は大変ではありますが、看護師をめざす方には長い目で見て取り組んでもらえたらと思います。
慢性心不全看護認定看護師の資格取得が目標
榊原 理恵さん

福山市民病院

クリティカルケア
認定看護師
(特定認定看護師)

小林 美紗代さん
(2022年12月 取材)

広島県立神辺旭高校・
広島県立保健福祉短期大学看護科
(現・県立広島大学保健福祉学部)・
東京慈恵会医科大学教育センター 出身

言葉にならない
身体の訴えをキャッチしたい
 看護の仕事を選んだ理由はシンプルで、人と関わる仕事がしたかったからです。その際、看護師か保育士しか考えつかず、少子高齢化が進んでいるので、看護師の方が将来性があるだろうと思い看護師を選びました。短大での勉強を経て、津山中央病院に勤務した後、超急性期の患者さんを受け入れる福山市民病院に転職し、集中治療室に配置されました。
 その時、戸惑ったのは言葉に頼れないということです。意識がない方が多いので話しかけても反応がなく、呼吸や血圧など、身体で示している声を頼りにして患者さんが何を訴えているのかを考えていかなければいけません。患者さんは必ずサインを出しているはずです。それをキャッチするためには経験だけでは足りないため、もっと勉強することが必要だと思い、クリティカルケア認定看護師の資格を取得することにしました。
言葉にならない身体の訴えをキャッチしたい
自分を見つめ直した
認定看護師の勉強
 クリティカルケアは、病態の進行が速い疾病や外傷、侵襲の大きな手術などで生命の危機に瀕している患者さんへの看護のことで、異常の早期発見や生命維持のための全身管理、苦痛の緩和、セルフケア能力の回復、家族への支援など、多方向の対応が必要となります。職場の支援を頂き、7か月ほど東京慈恵会医科大学で学んだのですが、あれほど自分と向き合わなければいけない場所はありませんでした。一緒に学んだ人たちは、みんな知識が豊富で視野も広く、何とか追いつこうともがきました。でも、私は私である、人と比べるのをやめ、できない自分を認め、もう一度自分の目標をしっかり見直そう。そう思えた時、前向きに勉強に取り組めるようになりました。ここでの勉強を臨床の場で確かめながら、経験を積んでいきました。
 私は今、院内で教育計画を立てて後進を育てるだけでなく、看護学校や看護協会などで講師を勤めていますが、自分の経験を言葉にして伝える上で、認定看護師になるために勉強したことが役立っています。

特定行為の1つで、栄養に係るカテーテルの挿入のため、血管エコーで血管を確認しているところ

看護は可能性がとても広い仕事
 私は当院で、RRT(ラピッド・レスポンス・チーム)で活動しています。これは患者さんの異変のサインを早期に察知して院内急変や心肺停止を未然に防ぐためのもので、現場から連絡があるとチームを組織して向かい、異変の様子を見極め、集中治療が必要かどうかの判断をします。一般病棟の看護師は不安を抱えていることが多く、コールすれば不安を解消してくれるチームのサポートが必要なのです。看護師が不安を解消し、安心して仕事をすることができれば、その安心感は患者さんにも還元できるはずです。
 看護は、患者さんの生活支援から始まり、人を助けることすべてに関わるとても可能性が広い仕事です。その人の人格が出る仕事でもあり、担当する病室に一歩入っただけでその人の仕事ぶりが分かったりします。一番近いところで患者さんに寄り添い、不安を軽減できるやりがいの大きな仕事だと思います。
特定行為の1つで、栄養に係るカテーテルの挿入のため、血管エコーで血管を確認しているところ

特定行為の1つで、栄養に係るカテーテルの挿入のため、血管エコーで血管を確認しているところ

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